本棚には、どんな本を残しますか?

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(参照:居候匇々 内田百閒集成14  株式会社 筑摩書房)

 

 先日紹介した『居候匇々』(著 内田百閒)は、私の本棚にずっとある本の一冊だ。 

 この本を、偶然、古本屋でみつけたとき、版画家、谷中安規(やすのり)氏が、挿絵を担当していて驚いた。内田百閒の本に谷中安規の挿絵。 東大卒で、お金が好きでドイツ語を話す飄々とした内田百閒と、世間体を気にせずただただ芸術にのめりこんだ谷中安規のイメージは相反していて、別の世界に住んでいると思い込んでいた。なのに、同じ時代に生きて、コラボしている。内田氏は、その著のはしがきで、谷中先生が、こんなにたくさんの美しい版画を掘ってくださったおかげで立派な本ができた、と感謝の気持ちを述べている。 

 谷中氏を知ったのは、何かのポスターを目にした時だ。その摩訶不思議な世界が印象的で、帰宅してから、この人は何ものなんだ?と調べてみた。「衣食住にかまわず、版画を掘ることに没頭し、終戦の翌年、50歳で、餓死してしまった」というようなことが書いてある。ショックだった。誰もがみな、お国のために戦うか、食べる事に必死だった時代だ。・・・本当に残念な話だ。

 

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 この人のストイックぶりは、この、挿絵からみても伝わってくる。ちょっとした挿絵でも子供のおとぎ話でも、手加減しない。というか、もともと、「力を抜く」ということをしらないのだろう。大きな作品をもよいが、こうした書面上の、限られたスペースに描かれた構図は、かえって作者の意気込みが伝わってくる。

猫がかわいくないのがいい。どこかユニークでシックでシニカルで不思議な世界観。

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(参照:居候匇々 内田百閒集成14  株式会社 筑摩書房)

 

 申し訳ない話だが、この定価1,000円の本は、古本屋で100円で買った。私の本棚にはそういう本ばかりが占領している。置き場所がなくなると10冊くらいまとめて売るが、しばらくすると、また本棚はいっぱいになる。そして、なんとなく選んで売って、また買って、また売って・・・を繰り返すことなる。

 そうして、本棚には、また手に取りたい本たちが、陣取っている。

 この本は、そんな本の一冊です。

 

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